「キッチン本体いくら?」では見積もりが出ない
キッチンリフォームの相談で最初に聞かれるのが「いくらかかりますか」です。ただ、この質問には本体価格だけでは答えられません。
同じ場所に同じ形で入れ替えるのか、壁付けを対面に変えるのか、キッチンそのものを別の場所へ動かすのか。 この3択で工事の中身がまったく別物になり、総額は倍以上開きます。
逆に言えば、この3つのどれを選ぶかを決めてしまえば、費用の見当はかなり絞れます。
3つの価格帯
① 同じ位置で入れ替える
いまあるキッチンを撤去して、同じ場所・同じ向きに新しいものを据える工事です。
- 給排水管・ガス・電気の位置をほぼ動かさない
- 壁や床の復旧は、キッチンまわりの最小限で済む
- 工期は2〜4日が目安
費用の大半が本体価格で決まるのがこのパターンです。工事費が読みやすく、見積もりの差も出にくい。
② 壁付けを対面(アイランド・ペニンシュラ)に変える
いちばん相談が多く、いちばん金額が読みにくいのがここです。
- 給排水管とガス管の延長・移設が発生する
- レンジフードのダクト経路を作り直す
- 床下の配管スペース、場合によっては床の嵩上げが必要になる
- 対面カウンター側の壁・床の復旧範囲が広がる
- 工期は1〜2週間が目安
①に比べ、本体以外の工事費が大きく乗ります。「カタログの本体価格を見て予算を組んだら、見積もりが倍だった」はほぼこのパターンです。
③ キッチンを別の場所へ移動する
LDKの間取りごと見直すケース。配管の経路を一から引き直し、電気容量の見直しも入ります。②よりさらに上の価格帯になり、ほぼリノベーション工事の領域です。
金額を動かす3つの要素
本体のグレードより、こちらのほうが総額への影響が大きいことがあります。
1. 配管をどれだけ動かすか
排水管には勾配が要ります。動かす距離が伸びるほど床下に必要な高さが増え、床を上げるか、下地を組み直すかの判断が出てきます。ここが費用の分水嶺です。
2. 電気容量が足りるか
IHクッキングヒーターへの変更、食洗機の追加、電気温水器の併用。築年数の古い住宅では分電盤の交換や幹線の引き直しが必要になることがあります。契約アンペアの変更が伴う場合もあります。
3. 壁・床をどこまで直すか
キッチンを撤去すると、背面の壁と床に跡が残ります。既存の床材が廃番だと部分補修ができず、「結局LDK全体を張り替える」という流れになりがちです。キッチン工事の見積もりに内装復旧がどこまで含まれているかは、必ず確認してください。
マンションと戸建てで前提が違う
マンション
- 管理規約の確認が先です。水まわりの移動を制限している規約は珍しくありません
- PS(パイプスペース)の位置が固定されているため、排水の自由度が低い
- 床のスラブ厚と配管スペースで、対面化できるかどうかが決まることがあります
- 搬入経路(エレベーターのサイズ、共用廊下の幅)で入れられる本体の寸法が変わります
大野城市や春日市のファミリー向けマンションは、この「規約と配管で対面化が成立するか」を先に見ておくと話が早いです。
戸建て
- 間取りの自由度は高い一方、床下の状態を開けてみないとわからない部分が残ります
- 築年数が経っていると、配管の劣化や土台の傷みが同時に見つかることがあります
- 糸島市や福岡市西区でご相談の多い築古戸建ては、キッチン工事のついでに床下を確認しておく価値があります
久留米市の二世帯住宅では「2つめのキッチンを増設したい」というご相談もありますが、これは給排水を新設する工事なので、③に近い扱いになります。
2026年の補助金で押さえるべき一点
2026年は国の「みらいエコ住宅2026事業」が動いています。ここで誤解されやすい点がひとつあります。
キッチン設備を交換するだけでは、補助の対象になりません。
この事業は省エネ改修を支援するものなので、原則として開口部(窓)や躯体の断熱改修と組み合わせることが前提になります。そのうえで、節湯水栓、ビルトイン食器洗機、掃除しやすいレンジフードといった設備が加算対象として扱われます。
「キッチンを替えると補助金が出る」と単純化された情報を見かけますが、実際は逆です。断熱改修を計画に含めるかどうかで、補助が使えるかが決まります。 キッチンだけを急いで決めてしまうと、あとから窓の断熱を足しても一体の工事と認められないことがあります。
要件・対象製品・申請時期は公式サイトで確認してください。
自治体の制度は市ごとに別物です。福岡市、糸島市、大野城市、久留米市でそれぞれ内容も窓口も違うので、お住まいの市のサイトを確認するのが確実です。
※ 本記事の制度情報は2026年10月時点のものです。年度で内容が変わります。
よくある失敗
- 本体価格だけで予算を組む — ②③では工事費が本体を上回ることがあります
- 管理規約を見ずに対面化を決める — マンションでは後戻りになります
- 内装復旧の範囲を確認しない — 「床は別途」で追加が出ます
- 補助金を工事の途中から足そうとする — 申請は着工前が原則です
決め方の順番
- ①②③のどれかを先に決める
- マンションなら管理規約、戸建てなら床下を確認する
- 断熱改修を計画に入れるかを決める(=補助金が使えるかが決まる)
- そのうえで本体を選ぶ
本体選びは最後で構いません。先に決めるほど、あとから制約に当たって選び直すことになります。
ストーリアでは、キッチンのご相談でも先に現地を見て、「この家でどこまでできるか」から整理します。他社でお見積もりを取ったあとのセカンドオピニオンでも構いません。お気軽にご相談ください。




