中東情勢が、リフォーム費用に効いてきた
2026年2月末、中東での軍事衝突をきっかけにホルムズ海峡が事実上の封鎖状態となり、原油の精製過程で得られる「ナフサ」(粗製ガソリン)の供給と価格に大きな影響が出ています。
財務省が4月28日に発表した3月の貿易統計(確速値)では、中東から日本へのナフサ輸入量は前年同月比で 40%減。日本の石油化学原料は約95%がナフサに依存しているため(米国はエタン由来が中心、中国はメタノール由来も活用)、影響範囲は2021年のウッドショックよりも広く、住宅・リフォーム業界全体に波及しています。
ナフサが何の原料かというと、ほぼ「家全体」
ナフサはエチレン・プロピレンなどに分解され、次のような住宅建材の出発点になっています。
- 断熱材(ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム など)
- 配管材(塩化ビニル管、ポリエチレン管)
- 樹脂サッシ(塩化ビニル樹脂)
- 塗料・シンナー(有機溶剤)
- 屋根防水シート(ルーフィング)
- ビニル壁紙、床材、接着剤、シーリング材
戸建て住宅の建築費はおよそ6割が資材費(日本経済新聞, 2026年4月)。リフォームでも配管・断熱・サッシ・水回り設備・塗装といった主要メニューは、ナフサ由来の素材なしでは成り立ちません。
いま実際に起きている値上げ・受注停止
2026年3月〜4月にかけて、各メーカーから公表・通達されている主な動きをまとめます。
- 断熱材:カネカ「カネライトフォーム」が4月出荷分から約40%、デュポン・スタイロ「スタイロフォーム」が5月出荷分から約40%値上げ
- 塩化ビニル樹脂:信越化学工業・カネカ・大洋塩ビが4月以降、1kgあたり30〜45円以上の値上げ
- 塩ビ管・配管材:積水化学工業・クボタケミックスが価格改定(クボタケミックスは塩ビ30%以上)
- 樹脂サッシ:LIXIL・YKK APが4月24日以降の受注分で5〜15%値上げ
- 塗料・シンナー:日本ペイントがシンナーを75%程度値上げ(最大80%との通達も)
- 屋根ルーフィング:5月1日出荷分から約40〜50%値上げ、入荷待ちで着工できない現場も
- ユニットバス・水回り:TOTOが4月13日に新規受注を一時停止 → 4月20日以降段階的に再開。クリナップ・LIXIL・パナソニックHS・ハウステックも納期調整が続く
帝国データバンクの調査では、これらナフサ関連の供給不安は二次流通まで含めると国内製造業の約3割(4.7万社)に影響し得るとされ、9割が中小企業。野村総合研究所の試算では、4人家族で年間2.2万〜3.5万円の家計負担増、消費者物価への押し上げは約1%弱と見込まれています。
福岡でリフォームを検討する方が、いま意識したい3つのこと
1. 「見積もり時点の価格」と「契約時の価格」がずれる前提で
メーカーの値上げ通達が短期間で連続しているため、見積もりの有効期限が通常の3か月から 1〜2週間 に短縮されているケースも出ています。気になる工事は、見積もりを取ったタイミングで早めに方針を固めるのが安全です。
2. 工期は「資材待ち」で延びやすい
断熱材・配管・ユニットバスは、メーカー在庫の状況で着工が前後します。希望時期がある場合は、資材手配が確定してから引っ越し日や仮住まいを動かす のがおすすめです。
3. 在庫が読める仕様・代替案を一緒に検討する
同シリーズの色違い・グレード違いで在庫が残っているものに切り替えると、価格と納期の両方を安定させやすくなります。「どうしてもこの型番」よりも「この機能で最短に入るもの」へ組み直す柔軟さが、いまは効きます。
「すでにリフォーム済みの物件」という選択肢
新築やこれからのリフォームは、いまから値上げ・遅延の影響を受けます。一方で、すでに建っている、もしくはリフォーム済みの物件は、ショック前の価格・条件で施工されている分、コスト面で相対的に有利です。
福岡市内・糸島・春日・大野城などのエリアでも、リノベーション済み中古マンションや完成済み建売の在庫は、現在の市況と比べると魅力が増しています。「いま手に入る完成品」としての価値の見え方が、半年前とは少し変わってきました。
STORIAでご相談いただきたいこと
- 「いまリフォームを始めると、どれくらい高くなりますか?」
- 「先に物件を買って、リフォームは1年後でも大丈夫?」
- 「中東情勢が落ち着いてからのほうがいい?」
正解はご家庭ごとに違います。現在の市況と、ご家族の住み替え時期・ご予算をふまえて一緒に整理しますので、お気軽にご相談ください。
参考
帝国データバンク「ナフサ関連製品サプライチェーン動向分析調査」(2026年4月17日)/ 経済産業省「中東情勢を踏まえた燃料油・石油製品の安定供給確保のための対応方針(案)」(2026年4月10日)/ 財務省 貿易統計 3月確速値(2026年4月28日)/ 日本経済新聞、朝日新聞、毎日新聞、時事通信、ハフポスト、NHK ほか各種報道(2026年3月〜4月)




